キャリアを積めば積むほど、後輩に指導する立場になります。
しかし、いざ後輩に指導しても「うまくいかない」「言った通りにしてくれない」
といった悩みを抱えることはありますせんか?
筆者の私自身、「後輩に教えるより自分で仕事をしちゃった方が楽だ」と感じたことがあります。
そこでこの記事ではコーチングについて解説します。
また、よく間違われるティーチングとの違いについても紹介します。
この記事を読むと、コーチングにより後輩とうまくコミュニケーションを取れるようになるでしょう。
先輩という立場に悩んでいる方は最後まで読んでくださいね。
コーチングとは、相手の自主性を促すため、対話を通して目標達成に向けたモチベーションを最大化するプロセスです。
このコーチングは今日、教育やビジネス、スポーツなどあらゆる分野で活用されています。
コーチングの3原則
コーチングはインタラクティブ(双方向)、オンゴーイング(現在進行形)、テーラーメイド(個別対応)の3原則から成り立っています。
コミュニケーションは、当たり前ですが、双方向のほうが良いでしょう。
しかし、先輩と後輩が話す場合、上司から部下への一方通行となる場合が多いですよね。例えば、
・○○の資料作っといて
・○○はこうするんだよ
というように先輩から後輩への指示や助言という矢印しかありません。
コーチングではこのような一方的なコミュニケーションではなく、相手にも意見を言わせるようにする必要があります。
コーチングは短期間では効果が発揮されません。
オンゴーイング、つまりは継続的に続ける必要があります。
3ヶ月ほどのコーチングを受けて変化がなくても、2,3年コーチングを受け続ければ必ず変化が訪れます。
テーラーメイドとは、1対1の個別対応を表します。
従来は多数を相手に同じ方法で人材育成を行っていましたが、多様化が進み全員に同じ方法で指導しても同じ効果が得られないことが顕著にわかるようになりました。
例えば、パソコン作業が得意な方にパソコン作業が苦手な方向けの指導法では退屈してしまいますよね。
逆に、苦手な方に得意な方向けの指導法では全く進めないでしょう。
一人ひとりの価値観や行動、スキルなどに応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
コーチングには傾聴、質問、承認というスキルが基本となっています。
「きく」には「聞く」・「聴く」という2種類の漢字を当てはめることができます。
これは漢字によって意味が違います。
「聞く」は音や声を耳に感じ認めるという意味で、「聴く」は聞こえるものの内容を理解しようとするという意味です。
傾聴はこの内の「聴く」に当たります。
例えば、相槌を打ったり、うなずいたりすることで相手に「話を聴いてもらっている」という感覚を持って貰う必要があります。
しかし、普段威圧的な印象を持たれてしまえばこの効果も薄まるでしょう。 そのため、日頃から後輩から話しかけられやすくする雰囲気作りも必要となります。
話をしていて、途中で自分がわかってしまっても、相手自身に気づかせる必要があるので質問を続けましょう。
この質問は「なぜ」から始まる質問ではなく、「何」を使った質問が有効です。
例えば、「なぜこの仕事を失敗したのか?」よりも「失敗した理由は何だと思う?」という質問のほうが、文が柔らかくなり、後輩は答えやすくなります。
この様に質問続けることで、後輩は問題について考えるようになるでしょう。
仕事を任せた後には、評価・承認しましょう。この時、まずは褒めることが大切です。
褒めることで後輩のモチベーションは高まります。
ただ、褒めるだけでは後輩も納得しないので、何が良かったのか具体的に話しましょう。
例えば、「今回の資料はうまくまとまっていてわかりやすかったね。お客様も安心して見ていたよ。」と言ったように、何が・誰にとって良かったのかまで伝えると良いでしょう。
コーチングは相手の自主性を重視しているため、あくまで相手の答えを引き出すためのサポートに徹します。
対してティーチングは答えを教えることです。
コーチングのメリット
コーチングのメリットは3つあります。
まずは、相手に考える習慣をつけることです。
目まぐるしく変わっていく時代において、企業は問題解決力をもった人材を求めています。
考える習慣が身につくことで、問題解決力は向上します。
2つ目は、後輩に自信がつくことです。
自分自身で答えを導き出すことによって、後輩の自信になり、積極的に行動するようになるでしょう。
3つ目は、先輩と後輩のコミュニケーションが円滑になることです。
コーチングによって、先輩は後輩の気持ちがわかり、後輩は先輩がよきコーチとなります。
両者のコミュニケーションが円滑になることで、企業の雰囲気も良くなるでしょう。
コーチングのデメリット
コーチングにはデメリットもあります。
それは、即効性がないことです。
コーチングは長期間行って初めて効果が現れます。
そのため、すぐにでも効果を出したい場合には向いていないでしょう。
また、コーチングは個別対応が必要となるため、対大勢にすることはできません。
ティーチングのメリット
コーチングのデメリットに対して、ティーチングは短時間で知識やスキルを伝えることができます。
また、対大勢にも適しているため、一度に大勢を育成できたり、グループ内に共通の情報を伝えたりすることも可能です。
ティーチングのデメリット
ティーチングのデメリットとしては、教える側が相手に対して伝えるだけの一方通行となってしまうことです。
これでは、相手は自分で考えることをやめてしまいます。
また、教える側の知識以上のものは発揮されず、相手の潜在的なものを引き出すことは難しいでしょう。
コーチングとティーチングの使い分けが重要
コーチングとティーチングのメリット・デメリットから、両者を使い分けることが重要だとわかります。
まず、新入社員などの研修には、ある基準までの知識や技術を大勢に伝える必要があるため、ティーチングが適しています。
また、早急な人材育成が必要な場合にもティーチングが良いでしょう。
逆に時間をかけてでも、相手の潜在的なものを引き出すための育成にはコーチングが適しています。
まずは傾聴して相手の現状を知る必要があります。
相手が現在どのくらいの仕事に熱量があり、どのくらいのスキルが有るのかを確認しましょう。
「最近どう?」と気軽な質問で問題ありません。
ただ、より具体的に知ることが大切です。
「具体的には?」などと質問をしてどんどん掘り下げていきましょう。
現状が確認できれば、次はゴールを明確にしましょう。
「どうなりたい?」「どうしていきたい?」と相手が望んでいる結果に意識を向けていきます。
このときも具体的にしていきましょう。
また、ゴールの先のことも考えるとさらに効果があります。
例えば、「ゴールして何を得られますか?」「ゴールして何を感じますか?」といった質問を行います。
これによって、相手の潜在的な欲求を知ることが可能です。
次に、ゴールに向かっていく上でぶつかる障害や課題について考えます。
障害があるから、ゴールに向かって行動できていない事が多いため、ここはより丁寧に考えていきましょう。
「行動を止めているのは何ですか?」と質問をして掘り下げていきます。
最後に、現状・ゴール・障害を踏まえて今後の行動計画を作成しましょう。
ゴールの期限やそこに向かうために必要な行動を挙げていきます。
この4ステップを繰り返し行っていくことで相手の自信につながるでしょう。
コーチングは後輩とよりよい関係を築くために必要となるだけでなく、企業にとっても大きなメリットが生まれます。
コーチングをうまく活用して、後輩を効果的に育成していきたいですね。