新卒時の就職活動は、社会人未経験で行うので、入社後のミスマッチがどうしても起きやすいもの。
さらに新卒者の中には、内定をもらうことが目的となってしまい、とりあえず条件の一番いい会社に入社したという人もいるでしょう。
入社した企業が自分に向かないと感じたら、より良い企業で働きたいと誰しも思うはずです。
しかし、入社して3年以内に離職して、第二新卒として転職する場合、就職活動は困難を極めるのでしょうか?
それとも第二新卒の転職は、自分に向いている仕事をいち早く探せる近道となるのでしょうか?
今回は、第二新卒の転職事情や転職を成功させるコツ、さらに自分に向いている仕事の探し方について解説します。
今の仕事を続けることに迷っている若手社会人の方は、ぜひご覧ください。
厚生労働省が発表した「令和二年度新規学卒就職者の離職状況」によると、新規学卒就職者の就職後3年以内離職率は、大学卒業者で32.1%。
さらに離職率の多い産業ワースト5についても次のように発表しています。
産業名 | 離職率 |
---|---|
宿泊業・飲食サービス業 | 51.5% |
生活関連サービス業・娯楽業 | 46.5% |
教育・学習支援業 | 45.6% |
医療、福祉 | 38.6% |
小売業 | 37.4% |
コロナ禍の外出自粛で、飲食店の休業や営業停止が余儀なくされたことから、飲食産業の離職率が50%以上を占めています。
その他にも、新型コロナウイルス感染のリスクを持ちながら働く医療・福祉産業の離職率も40%近くと高い水準となっています。
大卒新卒者の約3割が第二新卒となり、転職活動をしていることが厚生労働省の調査でわかりました。
第二新卒と聞くと実務経験が乏しく、就いた職種のスキルを身に付けないまま離職することになるので、転職市場に需要があるのか不安になりますよね。
しかし、意外にも転職市場は第二新卒者を求めており、大手企業に転職を成功させた第二新卒者もいます。
もしかすると、第二新卒の転職は向いている仕事に就けるチャンスなのかもしれません。
ここからは、第二新卒の転職事情を見ていきましょう。
第二新卒を求めている企業は多い
第二新卒者とは、新卒から3年以内に離職した「早期退職者」。そのため、企業は採用を避けるだろうと思われがちです。
しかし、第二新卒者を求める企業は年々増加しており、求人数も増えています。
なぜ企業は第二新卒を求めているのでしょうか?それには2つの理由があります。
新卒社員を研修するときには、仕事内容だけでなく社会人としての心構えやビジネスマナーから指導する必要があります。
そのため、一人前の社会人として仕事ができるようになるまで、企業は時間とお金を社員に投資する必要があるのです。
一方、第二新卒の場合、勤続年数は少ないとはいえ社会人としての実務経験があり、基本的なビジネスマナーは身についていると考えられます。
よって第二新卒者は、新卒社員を採用するよりもコストや時間を大幅に削減できると期待されています。
第二新卒者は、新卒社員と年齢が近いことから、実務経験がありながらもフレッシュさがあると考えられています。
そのため、研修コストが削減でき、さらに会社に新しい風をもたらす若手社員を迎え入れたい企業へのニーズが高まっています。
また第二新卒は、社会人経験が浅いことから、新しい職場の雰囲気やルールに馴染むのが早い傾向があります。
企業への柔軟性も第二新卒の魅力の1つとして考えている企業も少なくありません。
第二新卒の転職を成功させた人は81%
公益社団法人 全国求人情報協会は、2018年6月に就業経験のある大卒で就業経験のある3年目から6年目の社会人、1904人を対象にインターネット調査を行いました。
調査結果によると、入社後3年未満の離職率は、30.5%。
数年前の調査結果ですが、今の新卒者の離職率と変わりません。
そのうち、約8割にあたる25.3%が第二新卒での転職を成功させているという結果が出ています。
第二新卒の転職を成功率は意外にも高いのです。
さらに転職を成功させた第二新卒の社会人に転職満足度を尋ねたところ、70.7%が満足していると回答しています。
このことから、第二新卒での転職は、向いている仕事に就けるチャンスであるとも言えます。
参照:若者にとって望ましい初期キャリアとは?~調査結果からみる“3年3割”の実情~
第二新卒の転職成功率が高いとはいえ、自分に向いている仕事に就けるかどうかは定かではありません。
転職という大きな決断をするからには、自分に向いている仕事に就いて生き生きと働きたいものです。
ここからは、第二新卒が向いている仕事を探す時に考えるべき3つのヒントをご紹介します。
自分の得意なことを考える
まずは自分の得意なことを考えてみましょう。
人によっては、好きなことイコール得意なことではないこともあります。
たとえば、このようなことはありませんか?
好きではないけれども、不思議とできてしまう
好きではないけれども、得意から始まる仕事が、やっていくうちにいつの間にか「好き」になり「向いている仕事」になることはよくあります。
人生の優先順位をつけてみる
自分の人生の中で1番大切で優先させたい時間を考えてみましょう。
・1人で趣味に没頭する時間
・友達とランチをする時間
“優先させたい時間”は人によってさまざまで、自分に向いている仕事の勤務形態を選ぶうえでとても重要です。
例えば、「家族との時間」を大事にしたいのに、夜勤が多く不規則な仕事に就いているならば、自分の価値観に合った仕事をしているとはいえません。
家族の時間が取れるよう、勤務体制を変えてもらうか希望が叶わなければ転職を検討してもよいでしょう。
このように人生の中で大切にしたいことが明確になると、どんな仕事が向いているか絞られてきます。
自分が楽しいと思うことを考える
自分が楽しいと思えることを考えるのも向いている仕事を探すヒントになります。
このとき、楽しいと思えることは仕事に限定しないのがポイントです。
たとえば、旅行の計画を立てている時やゲームをしている時などでもOK。
楽しいと思えることから、「計画的に物事をすすめることができる研究・開発」、「コツコツと継続して目標を達成することができる事務職」など自分の特性から向いている仕事が見えてきます。
第二新卒の転職成功率は高いものの、たかをくくってはいけません。
なぜなら、企業の第二新卒の需要は高まっているとはいえ、新卒採用企業の求人数と比べると明らかに少ないからです。
また新卒採用のように、待っていれば情報が舞い込むようなこともありません。
自ら情報を取りに行かなければ、求人情報や企業研究のための情報は手に入らないのです。
新卒の就職に比べて困難を極める、第二新卒の転職を成功させるにはどうすればいいのでしょうか?
自己分析をして自分に向いている仕事を考える
第二新卒の転職を成功させたいならば、自己分析を怠ってはいけません。
今の職場が合わなかったのは、もしかしたら自己分析が甘く、合わない仕事を選んでしまった可能性もあります。
転職先で、向いている仕事に従事するためにも、以下の記事を見ながら自己分析をしてみましょう。
また自己分析は自分のスキルや能力の棚卸をすることもできるので、転職先に志望理由を明確に伝えるのに役立ちます。
長く勤めたいという意欲を伝える
第二新卒を受け入れる企業の採用担当者の誰もが不安に思っていることは、【自社で長く勤めてくれるのか?】です。
さまざまな理由があるにしろ、第二新卒者は新卒入社から3年以内に離職する「早期離職者」です。
早期離職は、企業に次の3つのリスクを負わせます。
・教育コストの損失
・企業のイメージダウン
新卒採用は企業にとって投資にあたり、早期離職されると損してしまうことになるのです。
もちろん、中途採用も新卒採用ほどではありませんが、社員が早期離職してしまうとリスクを負います。
そのため、企業の採用担当者は第二新卒者が前職のように退職してしまわないか不安なのです。
希望する企業へ内定を勝ち取るには、この採用担当者の不安を払拭する必要があります。
転職先の企業に長く勤めたいという意欲が伝わるような自己PRや志望動機を考えておきましょう。
前職の業務や退職理由はポジティブに伝える
前職の人間関係や業務内容に大きな不満を持っていたとしても、転職を希望する企業には決して言わないようにしましょう。
なぜなら、前職の不満を転職希望の採用担当者に言ってしまうと、共感は得られず、返って「この人は同じ理由で自社を辞めてしまうかもしれない」という不安になります。
前職の業務や退職理由はできるだけ手短に、ネガティブな内容をポジティブに言い換えるのがおすすめです。
たとえば、営業のノルマがきつくて転職を考えている場合は、次のように言い換えるとネガティブな印象がなくなります。
たくさんのお客様と出会い、お話しをしていくことは学ぶことが多く、楽しいこともたくさんありました。
しかし、毎日が目まぐるしく。お客様1人ひとりと向き合う時間が足りないことに歯がゆい気持ちを感じることもありました。
御社では、わたしが希望するお客様と向き合う時間がしっかりとれると思い、営業職に応募しました。
転職活動が長引くリスクに備える
今の会社をいち早く辞めて、転職活動に専念したい!
このように考える第二新卒の方もいるかと思います。
厳しいことを言いますと、新卒採用に比べると第二新卒の求人数は少なく、転職活動が長引く恐れがあります。
転職活動に専念して、すぐに就職できればいいのですが、長引いてしまった場合、生活費が枯渇してしまう恐れもあります。
そうなると、生活費を稼ぐためにアルバイトをして、結局フリーター期間が長くなってしまうかもしれません。
そうならないためにも、第二新卒の転職活動はできるだけ在職中に進めることをおすすめします。
新卒時の就職活動は、学生気分が抜けないまま行うので、どうしても自分の将来が見えず内定をもらうことに必死になってしまいがちです。
また、自己分析をしてしっかりと就職先を吟味したとしても、実際に入社してみると「思っていたのと違っていた…」ということもあるでしょう。
ミスマッチを感じながら、働き続ける選択もありますが、ビジネスマナーや社会人としてのルールが身に付いたと感じたら、転職を検討してみるのも一つの手です。
なぜなら、第二新卒を欲する企業は多く、もう一度就職活動をすればより自分に向いている仕事に就ける可能性があるからです。
新卒時の就職活動と違い、求人数も少なく情報も自分で集めなければならないので、一筋縄ではいきません。しかしその分、自分自身をじっくりと見つめ直すことができます。
社会人としての実務経験を積んでからの就職活動となるので、新卒時の就職活動と異なり、別の視点で企業を選ぶこともできるでしょう。
今の仕事にミスマッチを感じている方は、第二新卒の転職でもう一度、自分に向いている仕事を探してみてはいかがでしょうか?