「自己分析」と聞くと、学生時代の就職活動を思い出す方が多いかもしれません。
「今さら自己分析なんて…」と思いがちですが、実は社会人になってからも自己分析することは、とても重要です。自己分析で自分の長所や短所、価値観を知ることが、キャリアだけではなく、自分らしい人生を歩むための道しるべになるからです。
この記事では、「大人の自己分析」のメリットと、その方法について紹介します。
キャリアや人生に迷っている方はもちろん、漠然とした不安がある方も、「大人の自己分析」で自分の長所や短所、価値観を再発見してもらえればと思います。
「大人の自己分析」のメリットは?
「大人の自己分析」は、自分の内面と向き合う作業で、奥が深く時間もかかるものですが、次に紹介するような3つのメリットがあります。
仕事にやりがいを感じやすくなる
自己分析により「自分が得意なこと、楽しいと思えること」が明確になり、それらに多くの時間を割くようになると、仕事での成果を上げやすく、仕事にやりがいを感じられることが多いでしょう。
「会社は安定しているし給料も良いから働き続けているけれど、私はこの仕事が好きなのかな…」と漠然とした不安を抱えている人もいるかもしれません。
そうした人は、自己分析で「自分がどんなことに不安を感じているのか」、「自分はどんなことで一番力を発揮できるのか」を知ることがとても大切です。
自分の根底にある気持ちに気付き、自分の力が最大限に発揮できる仕事や働き方を選ぶことで、より仕事に前向きに取り組めるでしょう。
仕事選びの「軸」がはっきりする
自己分析は、自分の長所や短所、価値観が明確になり、仕事選びの「軸」がはっきりします。転職や部署異動といったキャリアを選択する場面で、迷いを感じづらくなるでしょう。
転職活動で志望動機や自己PRを考えるときや、社内のキャリア転換で自分の希望を会社へ伝えるときにも役に立ち、自分らしいキャリアを歩むための道しるべになります。
将来のために今何をすべきかが見えてくる
自己分析で自分の長所や短所、価値観が見えてくると、今まで漠然と働き続けてきた人も、将来のありたい姿がはっきりしてきます。
それを実現するためには自分のどういった強みを伸ばしていけばよいかが分かり、キャリアの成長スピードを早めることができるかもしれません。
「大人の自己分析」の方法~簡単にできる4つのSTEPとは?
「大人の自己分析」は様々な方法がありますが、簡単にできる4つのSTEPを紹介します。
STEP:1 自分の過去の経験を棚卸しする
まずは、小学生〜今までの経験を、ライフステージに分けて一通り棚卸しすることから始めましょう。
力を入れたこと、達成したこと、嬉しかったこと、挫折したことなど、箇条書きで良いので洗い出します。勉強、部活、趣味、アルバイトなど様々な視点からピックアップできるとよいでしょう。
ここでは、うまくいかなくて挫折したことも棚卸しすることがポイントです。ネガティブな経験であっても、「それがきっかけで自分が変わった」と思えることであれば、むしろ強みになることも十分ありえます。できるだけ多くの経験を洗い出すようにしてください。
STEP:2 洗い出した経験を一つ一つ掘り下げる
過去の経験を一通り洗い出したら、それぞれの経験について一つ一つ掘り下げます。
具体的には、次の点に着目していくとよいでしょう。
・なぜ印象に残っているのか
・どんなことに苦労したか
・その苦労をどう乗り越えたのか
・この経験から何を学んだのか
自分の心がどんなことで動いたのか、自分の根底にある価値観や願望が見えてきます。同時に、「誰と過ごした時間が楽しかったか、落ち着いた気持ちになったか」も考えてみるとよいでしょう。「自分に本当に必要な人間関係」も必然と見えてくるかもしれません。
STEP:3 過去の経験を整理し、長所や短所、価値観を分析する
過去の経験について掘り下げたら、それらを整理し、自分の長所や短所、価値観を分析しましょう。今までの経験において、解決方法や学んだことに共通点はありましたか?この共通点にこそ、自分自身の長所や短所、価値観が隠れている可能性が高いのです。
中学・高校と同じ部活を続けてきたのなら、「一つのことに根気よく取り組める」ことが長所になるかもしれません。部活のキャプテンを経験したのなら、「みんなをまとめる大変さを知っている」ことが長所になるかもしれません。
その時に注意したいことは、短所ばかりにとらわれすぎないことです。自己分析をすると、どうしても自分のネガティブな部分と直面します。たとえば、「自信が持てず心配ばかりしている性格」が短所だとしても、「何事にも慎重に取り組む性格」と前向きに変換できるように考えてみましょう。
STEP:4 なりたい自分のビジョンを描く
STEP1~3で導いた長所・短所をもとに、これからやりたいこと、将来なりたい自分について考えてみましょう。
「これからどんなスキルを活かしたいか」、「どんなことを大切にして働きたいか」、「将来どんな自分になりたいか」をできるだけ具体的にイメージしましょう。
その際、「今さらそんなの無理だよね、できるわけない」と、自分の根底にある素直な気持ちを押し殺さないように注意しましょう。また、「この資格を持っているから」、「この仕事をずっとしてきたから」といった過去の経験に縛られ、「生かさないと損だよね」と自分本来の気持ちを無視して選択肢を絞ってしまうことも避けましょう。
過去の経験を生かすことはとても大切ですが、過去の経験で自分の将来を縛ってしまうことがないよう、なりたい自分のビジョンは「できるだけ自由に」描きましょう。
まとめ
自分のことは十分わかっているつもりでも、大人の自己分析により気付かなかった長所や短所、価値観が見えてくるものです。
大人の自己分析は、一回で完璧にできるものではありません。同じ出来事でも掘り下げる時期が違うと、別の気付きを発見することもあります。
いくつになっても「自分が得意なことは何か」、「5年後、10年後はどうありたいか…」を頭の片隅におき、大人の自己分析を定期的に更新し続けるとよいでしょう。