20代後半になると、友人・知人の結婚や出産の報告が続々と届くように。
「バリキャリ女子として仕事を頑張る今の生活に不満はないけれども、いつか結婚・出産もしたい…」
20代後半になると、結婚や出産が現実味を帯びてきますよね。
しかしそこで考えるのが、子育てと仕事の両立。
個人で頑張るのにも限界があります。そんなときに考えるのが会社の福利厚生ではないでしょうか。
今回は20代後半女性が注目したい福利厚生をピックアップ。今の会社でこれからも働き続けられるのか…悩んでいる女性はぜひ最後までご覧ください。
働きやすい会社かどうかの判断材料|福利厚生とは?
福利厚生とは、会社が社員に提供する給料以外の報酬やサービスのことです。
福利厚生は次の2種類に分けられます。
・法定外福利厚生:会社が独自に定めて社員に提供しているもの
福利厚生の対象は、正社員だけでなくパートタイマーや契約社員にも適用されます。それでは2種類の福利厚生を詳しくみていきましょう。
法定福利厚生とは、法律で義務付けられている福利厚生のことです。具体的にいうと、社会保険料の会社負担のこと指します。
社会保険料の種類によって、会社が全額負担するものと一部負担するものにわけられます。
▼社会保険料の種類と企業負担の割合
社会保険料の種類 | 企業負担の割合 |
健康保険料 | 労使折半(1/2) |
介護保険料 | 労使折半(1/2) |
雇用保険 | 企業2/3、従業員1/3 |
労災保険 | 企業全額負担 |
子ども・子育て拠出金 | 企業全額負担 |
会社と折半もしくは一部負担の社会保険料は、社員の給料によって額が変わります。
給与明細の保険料の控除額を見て「今月もこんなに取られてしまった…会社で働く意味ってあるのかしら?」と思っている方もいるかもしれませんね。でも表を見てもわかるように、その半分もしくは一部は会社が負担しています。
もし会社に所属していなければ、社会保険料はすべて自分で支払わなければなりません。そう考えると、会社員も悪くはないな…と思いませんか?
一方で法定外福利厚生とは、会社が自由に整備・導入している福利厚生のことです。
法律で義務付けられているわけではないので、法定外福利厚生がない会社もあります。のちほど紹介する福利厚生はこちらに当たります。
法定外福利厚生が会社と社員にもたらすメリット
会社は法定福利厚生のみ実施し、労働基準法をきちんと守れば罰せられることはありません。しかし最近は、多くの会社が法定外福利厚生に力を入れています。
なぜなら会社が独自の福利厚生を導入・整備することで、
・社員の満足度や業務のやる気向上
など社員の意欲向上と定着率UPが期待できるからです。さらに法人税の削減やイメージアップも期待できます。
つまり福利厚生を充実させると、会社にも社員にも大きなメリットがあるのです。
20代女性が求める人気の福利厚生ランキングベスト5
バリキャリ女子を目指して就職活動をしていたときは、
・給料
・労働時間
・会社の所在地
などを中心に会社を選び、福利厚生はおまけと考えていた方も多いかと思います。
しかし20代後半にもなると、たとえ業務内容や給料に満足していても、「快適な会社環境で働きたい」と考えを改める方も多いのではないでしょうか。
とくに女性の場合、結婚の予定はなくても今の会社で育児をしながら働けるかしら?とふと考えてしまいますよね。
株式会社OKANが2020年8月に行ったインターネット調査によると、20代女性が求める人気の福利厚生ランキングベスト5は次のようになっています。
順位 | 福利厚生 | 割合 |
1位 | 特別休暇 | 83.4 |
2位 | 慶弔支援 | 78.1 |
3位 | 子育て支援 | 77.4 |
4位 | ヘルスケアサポート | 76.2 |
5位 | 住宅支援 | 71.5 |
引用:<withコロナで変化する「働くこと」に関する調査④>コロナ禍で顕著になった”企業と従業員の関係希薄化” 会社に愛着が湧く理由トップは「特になし」 31.3%
特別休暇や慶弔手当が上位を占めるものの、3位に子育て支援もランクインしています。ここからは調査結果を元に、20代女性に人気の福利厚生を詳しく解説します。
特別休暇は会社が社員に対して休暇を与える制度です。
産休や育休、介護休暇のように法律で定められた休暇ではないので会社が自由に条件などを決めます。
ここでは多くの企業が採用している特別休暇を3つご紹介します。
冠婚葬祭に関する特別休暇で、身内の結婚や訃報などに適用されます。会社によって呼び名や休暇日数、対象範囲が異なります。慶弔休暇は社員の気持ちを汲み取り、有給として扱う会社が多いです。
勤続年数に応じて、3~7日程度の休暇を与えて社員を労う制度です。社員のストレス解消や気分転換を目的とします。
社員の誕生月に特別休暇を与える制度です。同月であれば任意の日にちを休暇に設定できることもあります。誕生日はいくつになっても特別な日。そんな特別な日に休暇をもらえると、「自分は会社から大切にされている」と嬉しい気持ちになりますよね。
慶弔支援とは、社員や社員の身内に祝い事や不幸があったときに支払われるお金や与えられる休暇のことを言います。
主な慶弔見舞金と相場は次の通りです。
慶弔の種別 | 会社から支給される見舞金の相場 |
結婚祝い金 | 10,000円~30,000円 |
出産祝い金 | 10,000円~30,000円 |
死亡弔慰金(家族) | 10,000円~50,000円 |
傷病見舞金 | 10,000円~30,000円 |
災害見舞金 | 50,000円~100,000円 |
とくに身内の訃報があった場合、急ぎ里帰りしなければならないこともあるでしょう。都内に在住する地方出身者の社員も多く、急な里帰りは大きな出費。家計の負担も大きくなることが予想されます。
やむを得ない出費に会社から慶弔見舞金をもらえると、ありがたいですよね。
20代後半の働く女性が最も注目するのは、子育て支援ではないでしょうか。
今は結婚する予定や気持ちがなくても、30代から40代にかけて結婚や出産に気持ちが前向きになるかもしれません。
そのときに女性が子育てをしながら働き続けるためには、子育て支援の充実している会社に入社・転職する必要があります。
子育て支援として企業が導入している福利厚生は次の通りです。
・社内託児所の整備
・家族手当など金銭面のサポート
・短時間勤務の導入
いずれも女性社員の子育てに必要不可欠なサービスや制度です。
仕事やプライベート、婚活に目まぐるしい日々を送る20代の女性は、忙しい毎日を過ごしています。そのため、つい自分の身体のメンテナンスを後回しにしがちです。
今は若さで乗り切れるかもしれませんが、30~40代と年を重ねていくうちに若いころのムリが身体の不調となって表れてしまうことも。
さらに30代からは女性特有の病気―乳がんや子宮頸がんのリスクが高まります。病気の早期発見・治療を促す、健康診断・人間ドックの補助などのヘルスケアサポートも人気の福利厚生の1つです。
さらに最近では、病気を予防するためにスポーツジムの補助やメンタルの不調を相談できる窓口を用意している会社もあります。
家賃は生活費を占める割合が多く、家計の大きな負担になります。
とくに最近は、若い女性を狙う悪質な事件も多いので、20代女性の場合、防犯がしっかりしている住居で生活したいもの。そのため男性社員の家賃よりも高くなることが予想されます。
高額になりがちな家賃を補助してくれる住宅支援は、社員にとってありがたい福利厚生の1つです。ひとくちに住宅支援と言っても、さまざまなものがあります。
・住宅手当…住宅ローン支援、引っ越し費用負担
・家賃補助…賃貸の家賃補助
・社宅、独身寮…会社が用意する住居
支給額は会社によって異なりますが、厚生労働省の「令和2年就労条件総合調査」によると、社員1人あたりの平均支給額は17,800円。
リーマンショックや新型コロナウイルスの感染拡大により、会社の経営状況も厳しさを増していることから、住宅支援は廃止・縮小しつつあるのが現状です。
20代女性必読!人気の福利厚生が充実している働きやすい会社
20代女性に人気の福利厚生がわかったところで、ここからは福利厚生が充実している働きやすい会社を5つピックアップ。
転職を考えている20代女性は、今から紹介する会社の福利厚生を参考に会社選びをすれば、きっと30~40代も問題なくキャリアを積めることでしょう。
また今の会社でキャリアを積みたい方も、ここで紹介した福利厚生を会社に提案し、今から先手を打つといいかもしれません。今後も自分らしく長く働き続けるためにも、他の会社の福利厚生をチェックしてみましょう。
国内最大級のブログサービス「アメブロ」やネットTV「Abema」を運営する株式会社サイバーエージェント。クリエイティブな会社ならではの福利厚生は、多くの就職・転職者に注目されています。
例えば、20代女性に人気の福利厚生の1つであるリフレッシュ休暇は、なんと5日間もあります。さらにオフィス内にマッサージルームを完備し、月4回無料で施術してもらうことができるサービスも。
家賃補助はどこに住んでいても勤続5年以上ならば、5万円支給など住宅支援の支給額は、平均支給額の倍以上と手厚くなっています。
その他にも月イチで宅配ピザを囲み、社員同士交流するなどユニークな福利厚生もたくさん用意されています。
リクルートグループの1つであるリクルートキャリアでは、人材広告事業や斡旋事業を行っています。独自の福利厚生の中でも最も人気なのは、長期リフレッシュ休暇。
「あれ?他の企業にもある福利厚生では…」と思われるかもしれませんが、リクルートキャリアでは、休暇に合わせて数万円の手当が支給されるのです。
長期休暇だけでなく、お金まで支給されるなんて…嬉しいですよね。支給されたお金で旅行やレジャーを思いっきりすれば、きっと次の業務もはかどること間違いないでしょう。
その他にも、社員個人のキャリアアップサポートにも力を入れており、業務時間内に資格取得の研修が受けられる制度も用意されています。
ジョンソンエンドジョンソンは、医療機器・医薬品を取り扱う会社で、本社はニューヨークの証券取引所に上場する大企業です。
ジョンソンエンドジョンソンの福利厚生の特徴は、社員だけでなく社員の家族へのヘルスケア支援が充実していることです。
・インフルエンザ予防接種の費用
・病院での治療費
・健康診断
これらは社員の家族の費用も会社が負担してくれます。
その他にも、外資系ならではの福利厚生として、選択制の福利厚生を導入。年間6万円相当のポイントが付与され、英語学習や自己啓発などの社内研修やスポーツジム、旅行などに利用することができます。
ワークスアプリケーションは大手企業向けERPパッケージ「HUE」を開発・導入する会社です。
IT企業は総じて【ブラック企業】と言われることが多い中、ワークスアプリケーションは2020年に「健康経営優良法人2020(大規模法人部門)」に認定されました。
とくに注目すべき福利厚生が「ワークスミルククラブ」。女性社員が意見を出し合って、働きやすい福利厚生制度を作る仕組みです。
これまでに次のような福利厚生制度が作られました。
・報酬(予定年収)15%の職場復帰特別ボーナスの支給
・妊娠判明時から取得可能な産前産後休業
・子どもが3歳到達後の最初4月末まで延長可能な育児休業
・子どもが小学校を卒業するまで選択できる短時間勤務制
・子どもの病気やケガの看護が必要な場合の特別休暇
妊娠判明から子どもが小学校を卒業する12年間をサポートする制度となっています。ここまで手厚い子育て支援があれば、出産後もキャリアを諦めずに仕事が続けられますね。
iPhoneやiPad、Macなど常に新しさを求めるAppleは、社員への投資も怠りません。その投資の1つに社員へ提供する手厚い福利厚生があります。
注目すべきなのが、充実したヘルスケア支援。
病気の治療費の一部負担はもちろんのこと、メガネやコンタクトレンズ代の費用も会社が負担してくれます。これは他の企業にはない福利厚生ですね。
また社内・社外研修の費用補助などキャリアアップへのサポートも惜しみません。
さらに嬉しいのは、Apple製品取得の一部補助。iPhoneやMacを購入する場合、10~25%の社員割引にプラスして500ドル(約50,000円)が支給されるのです。通常価格で10万円以上するiPhoneやMacをお得に購入できる、嬉しい福利厚生ですね。
コロナ禍ならではの福利厚生にも注目!
新型コロナウイルス感染拡大により、リモートワークを導入する企業が多くなりました。
外出自粛により交通費や交際費は削減されたものの、光熱費や食費が増額し、家計がマイナスになってしまった方もいることでしょう。
働き方が変わったことで、コロナ禍ならではの福利厚生を社員に提供する企業が増えています。今回はその中から2つの福利厚生をご紹介します。
その名の通り、在宅勤務をする社員に支払われる手当です。
支給相場は月額3,000円~10.000円程度で、在宅時間勤務によって増えた
・食費や光熱費
・インターネットの回線導入
・机や椅子などの設備
などの費用負担軽減を目的に支払われます。
20代女性の福利厚生ランキングにはランクインされていませんでしたが、安くて美味しい社員食堂の提供も人気の福利厚生の1つです。
コロナ禍によるリモートワーク導入により社員食堂の利用もできなくなってしまいました。ランチは毎日食べるものなので、家計にも影響を与えます。
そこで社員食堂に代わる、次のような食のサービスを提供する会社も出てきています。
・出張シェフ…自宅に料理人派遣
・宅食サービス…自宅にチルド惣菜を宅配
・フードデリバリーサービスの一部利用負担
在宅勤務の食事は、栄養が偏りがち。このような食の福利厚生は、社員の食費の軽減だけでなく、ヘルスケア支援にもつながります。
まとめ:転職するならライフスタイルに合わせた福利厚生にも注目
就職するときはおまけとしか考えていなかった福利厚生。しかし長く勤めれば勤めるほど、会社の環境が働くモチベーションにつながることがわかります。
また女性のライフイベントである結婚や出産、そして育児と仕事の両立は会社の協力なしでは乗り越えられません。キャリアを諦めずに仕事を続けるためにも、独身時代で自由に動ける20代の今がチャンス。
現職の福利厚生制度をチェックして、これからの働き方を考えましょう。現職の福利厚生制度が不足している場合、会社に訴えるのも1つの方法です。
でももし理解してもらえそうにないのなら、転職も視野に入れた方がいいかもしれません。20代後半女性はまだ需要が高いので、福利厚生が充実している会社への転職も難しくないはずです。
福利厚生の充実した会社に勤めて、30~40代のライフプランに備えましょう。