パパの育休にまつわるこんな数字、皆さんはどう思いますか?
・2021年のパパの育休取得率は13.97%
・育休を取得したパパの家事・育児時間が「1日3時間以下」という回答が47.5%
2022年10月に育休制度は大きく変わり、育休を取るパパが増える一方で、ママたちからは「取るだけ育休」という声も。パパが育休を取っても、実際は仕事をしていた、遊びに行っていた、1日中寝ていたなど、家事や育児をしない実態も浮かび上がっています。
この記事では、新しい育休制度を最大限に活用するために、育休取得のメリットや育休中の過ごし方などについて説明します。新しい家族を迎え、絆を深めるための大切な育休期間、どのように過ごしたらよいのでしょうか?
パパの育児休業制度について
産後パパ育休(出生児育児休業)
2022年10月より、「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設されました。これは、男性従業員が子どもの出生日から8週間以内に、最長4週間休業できる新しい制度です。
休業できる4週間は、2回まで分割して取得できるようになりました。生活スタイルに合わせ、まとめて4週間取得したり、2週間ずつ2回取得したり、延べ日数4週間をどこで取得するか自由に決めることが可能です。
産後パパ育休中は、合意した範囲内で働くこともでき、仕事を完全に休むことが難しい場合でも、仕事と育児を両立しやすいよう配慮されています。
育児休業制度
育児休業制度も2022年10月より大きく変わり、育児休業を2回まで分割して取得することができるようになりました。
これまでの育休は連続して取得しなければならず、一度復職したら二度と育休には戻れませんでしたが、改正後は夫婦ともに2回に分けて取得できるようになりました。
「長期間連続して休むのは難しい。」、「この時期はどうしても復職しなければならない。」といった場合、一度復職して再度育休を取ることもできるので、夫婦交代で子育てをするスタイルも実現可能です。夫婦一緒に1歳まで連続して取ったり、夫婦で交代して分割で取ったり、自分たちの生活スタイルに合った育休を選びましょう。
パパの育休取得のメリット
夫婦の信頼関係が深まる
パパが育休を取得し子育てのサポートをすることで、ママの大きな心の支えになり、夫婦の信頼関係を深めることができます。
出産は、全治2ヶ月のけがを負ったのと同様のダメージがあるとも言われ、特に産後8週間は身体が元の状態に戻ろうとホルモンバランスが急激に変わります。この時期は、ママの体はとてもデリケートな状態で、精神的に不安定になる、切開の痛みがつらい、乳房が張って痛い、腰痛で動けないなど、さまざまな不調が現れることがあります。
赤ちゃんのお世話で十分に眠れないまま、いつも通り家事・育児をこなすと、体を休める時間は少なく、心身ともに不安定になりがちです。放っておくと産後うつを引き起こすこともあるので、パパの育休取得はとても大切です。
子育ての喜びを感じられる
パパが育休を取得し、子どもとの時間が増えることで、子どもの成長にかけがえのない喜びを感じられるでしょう。
「子どもが生まれてからも忙しい生活は変わらず、育児をするのは土日だけ」と、子どもと過ごす時間が少ないと感じているパパはとても多いもの。
パパが育休中に家族との時間を集中的に持つことで、会社への帰属意識も高まり、復職後は以前より仕事への意欲が高まったという声も多く聞かれます。
ママのキャリアロスを軽減できる
パパが育休を取得することで、ママは復職を早められたり、スムーズに復職できたり、育児によるキャリアロスを軽減できます。「夫が育休を取ってくれたおかげで、1年以内に復職でき、スムーズに職場に順応できた」というママの声も多く聞かれました。
とるだけ育休にならないために~パパは育休中に何をするべき?
家事を率先して行う
まずは、パパは率先して家事を行いましょう。
特に産後間もない時期は、ママは体の回復と赤ちゃんのお世話で心身ともに負担が大きい時期です。買い出し、調理、後片付けや、トイレ・風呂掃除、洗濯など、ママが体を休められるよう、パパが積極的に家事を行いましょう。
急に全ての家事をパパ一人で行うことは大変なので、家事の引継ぎや分担について妊娠中から夫婦で話し合い、産後に赤ちゃんとの生活をスムーズに始められるよう備えましょう。
赤ちゃんのお世話を一人でできるようにする
次に、パパ一人で赤ちゃんのお世話を一通りできるようにしましょう。
生まれたばかりの赤ちゃんのお世話は、誰だって不安なもの。けれども、母乳をあげること以外は全てパパ一人でもできることです。ミルク作り、おむつ替え、沐浴、寝かしつけなど、パパは基本的な赤ちゃんのお世話を早めに習得できるようにしましょう。
ママの睡眠を確保する
産後間もない時期は、パパはママの睡眠時間を確保することを心がけましょう。
産後間もない時期、ママの体は大きなダメージを負っています。その上、夜間の授乳で2~3時間ごとに起きることも多く、いつも睡眠不足です。睡眠不足が重なると心身ともに不安定になり、産後うつを引き起こすきっかけになることがあります。
パパは「子どもを見ているから、少し休んで」などと、ママに声を掛けましょう。数時間眠るだけでも体は大きく回復します。ミルクで授乳している場合は夜間の授乳を交代で行うなど、どちらか一方に負担が偏らないよう夫婦で話し合いましょう。
上の子の面倒をみる
上の子がいる場合は、パパが面倒をみることによって、ママが下の子のお世話に専念することができます。パパが上の子を遊びに連れ出したり、赤ちゃん返りをしているようならママが上の子の相手をして、パパが赤ちゃんのお世話をするなど、夫婦で臨機応変に役割分担をしながら乗り越えましょう。
普段は忙しくて子どもとゆっくり遊べないパパにとっても、育休期間は思い切り子どもとふれ合える絶好の機会になることでしょう。
育休取得前にどんなことを話し合ったらいい?
家事・育児の役割分担を決めておく
一日の家事・育児の流れを洗い出し、あらかじめ役割分担について夫婦で話し合いましょう。
その際、できるだけ細かい作業まで洗い出しておくとよいでしょう。パパは意外と「名もなき家事・育児」の存在に気が付いていないもの。「料理」であれば食事を作ることだけではなく、冷蔵庫の在庫を把握した上での買い出し、食器洗い、テーブルの上の整理、生ごみの処理といった細かい作業もあります。「食事を作っただけで片付けは何もしない」とママがイライラすることがないよう、事前に一連の流れを共有しましょう。
出産前後の女性の体の変化について学んでおく
出産前後の女性の体の変化について、出産前に夫婦で学びましょう。
パパは出産を経験できないため、ママの不調に気が付くことができません。パパに産後の体調不良を理解してもらえず、夫婦の仲が険悪なムードになるという話もよく聞かれます。
両親学級に参加したり、インターネットで調べたり、あらかじめ女性の体の変化について、夫婦で学び共有する機会を作りましょう。
まとめ
仕事と子育ての両立の秘訣は、「夫婦でのコミュニケーションを重ねること」です。
育休をどんなスケジュールで取得するか、育休明けはお互いどのように働きたいか、家事・育児の分担はどうするか、お互い不満に思っていることはないか、不満をどう改善していきたいかなど、夫婦で繰り返し話し合うことが何よりも大切です。
自分たちらしい育休期間を過ごすためには、育休制度を理解した上で、どのように活用していくか、出産前から夫婦でよく話し合い、イメージを共有しながら育休期間を迎えることがとても重要です。
この記事が夫婦の絆が深まる育休期間にするために、少しでもお役立ていただければ嬉しいです。
■参考
厚生労働省 「令和3年度雇用均等基本調査」結果を公表します ~女性の管理職割合や育児休業取得率などに関する状況の公表~
厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
コネヒト株式会社 【調査結果】男性版産休新設で取得率上昇が見込まれるも「とるだけ育休」の実態はほぼ改善せず