こんにちは!ライターの佐藤たかしです!
企業勤めを経て独立を選んだ方々に「自力でお金を稼ぐこと」について語ってもらう、インタビュー企画。
今回は、20代で独立し、現在は株式会社NOMALを経営されている松本祥太郎さん、そして17年間勤めた企業から独立した街角キャリアオーナー羽田啓一郎さんに、企業から独立してお金を稼ぐことの難しさとやりがいを語ってもらいました。
会社勤めに日々悶々としているあなた、これからのキャリアに不安を感じているあなたも、これを読めば何かが変わるきっかけになる、かも。
松本さんの場合
ご経歴
今回取材に協力していただいた松本祥太郎さんは、大学卒業後、大手人材会社に入社。法人営業担当として新人賞を獲得するなど、数々の輝かしい実績を収められました。
その後独立し、2015年に現在の株式会社NOMALを設立。
一見すると順風満帆に見える松本さんの、知られざる苦労とは…?
「自分の実力を試したい」
まずお伺いしたいのですが、前職を辞めようと思われたキッカケはありましたか?
それがあんまり憶えていなくて…ただ当時、学生を支援するサービスをネット上でやっていて、それがとても評判良かったんですよね。ただ前職時は副業禁止だったので、お金はもらわなかったんですけど、売り上げに換算すると云十万円くらいの目処が立って。
それはすごいですね!
あと、自分は法人営業が得意で、ありがたいことに社内でも何度か表彰されていたこともあり、今思うと「自分の実力を試したい」って気持ちが大きかったのかもしれません。
転職等は選択肢にあったのでしょうか?
初めは転職するつもりでした。実際に転職活動を通していくつかの企業から内定を頂いたのですが、仕事内容が自分のやりたいこととずれていて、それならいっそのこと自分でビジネスを始めた方が良いと思って、独立を決めました。
「看板で稼げていたと思い知らされた」
でも、それくらい素晴らしい経歴をお持ちなら、やはり独立後も順風満帆に…
それが全然結果は出ませんでした。
え!すごく意外です!
ある程度売り上げが経つことは予想できていたのですが、必要経費とかの考えがすっかり抜けていましたね。宣伝するにも広告費がいるし、会社員時代と違って家賃補助なんかも出ないので、苦しい日々が続きました。
売り上げ以外にも考えることがたくさん…
それと、法人営業で全然結果が出なかったのも大きかったです。僕は元々営業には自信があったので、そこらへんはあまり心配していなかったのですが、いざやってみると話しすら聞いてもらえないことが多くて、今まで自分は企業の看板で稼げていたと思い知らされましたね。ネームバリューが無い自分に価値は無いのではないかと、正直挫折しました。
とてもショッキングな気づきですね…
そうこうしてたら独立して半年くらいでお金が尽きそうになってしまって、このままではヤバい、何とかしなきゃと思いました。
「手作りのスマホケース」
そんな大変な状況の中、初めての売り上げはなんだったのですか?
それが、手作りのスマホケースでした。
え、スマホケースですか?
僕は某アイドルが好きだったのですが、中でも特に推していた人をイメージした柄のスマホケースを手作りして、ネットで売っていました。残りの資金を全部使って、透明のスマホケースを業者から大量に仕入れ、ホームセンターで色を塗る道具とかを買って、毎日朝からハンドメイドしていました。そしてできたものを郵便局に持ち込んで発送してもらう、という生活を毎日繰り返していました。
それまでのご経歴と全く違うことなので驚きました。
とにかく生きていくためにお金を稼がなければならなかったので。少ない元手で何ができるかと考えてスマホケースに辿りつきました。
妻とはその頃から同棲していたのですが、「仕事が忙しい」とごまかして朝から出かけて、喫茶店でスマホケースを作っていました。妻にはずっと内緒にしています。
この記事でバレてしまうかも…(笑)
「手触り感が半端ない」
そうした時期を経て、現在はご自身の会社を経営されていらっしゃいますが、独立という経験を通して学ばれたことはありますか?
会社員時代から、自分の価値とか経験に対してお金をいただくという感覚はあったのですが、独立するとこの「手触り感」が半端ないです。スマホケースは特にわかりやすいかもしれませんが、自分の会社からではなく、お役に立てて初めてお客様から直接お金を頂けるので。そういったお金のありがたみは全然違いますね。
「お金のありがたみ」ですか。
それまでは自分の営業成績が良ければよいと考えていたのですが、そうではなくて。独立してからは、お客様が成果を出さないといけない、その対価としてお金をいただくのだと分かりました。
あと、昔は一匹オオカミ的な考え方で、振り返ると傲慢な部分もあったと思います。でも、今では一緒に働く仲間もいて、彼らが仕事を楽しんでくれれば良いなと思っています!
羽田さんの場合
ご経歴
続いてインタビューに応じてくれたのは、街角キャリアのオーナーである羽田啓一郎さん。
大学卒業後、株式会社毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)に入社した後、大手企業の新卒採用支援や数々の新規事業の立ち上げを経験し、2020年に独立したの羽田さんに、初めての売り上げについて聞いてみました。
「今後の人生、時間は有限だ」
在籍17年目にして退職されたわけですが、そのきっかけみたいなものはあったのでしょうか。
40歳を迎えたころ、「今後の人生、時間は有限だ」って意識し始めたのが大きいですかね。会社員として働いていくと色々なしがらみがあって、納得いかない部分とか不満もあったのですが、限りある残りの人生、そういうものを我慢しながら過ごすのはもったいないと。
そして独立された。
最初は転職しようと思っていたのですが、そこから独立することにして。でも当時はめちゃくちゃ不安で、独立といっても稼ぎのあてもないからコンビニでアルバイトしようと思っていました。
…!!あの羽田さんがバイトですか!
いや、けっこう真面目に。周りには「大丈夫でしょ」って言われてたのですが、僕は自己評価が低い方なので。
とはいえ、今はありがたいことにこれまでのご縁でお仕事をいただけていて、むしろ忙しいくらいなのですが。
「仕事のパートナーだと認めてもらえた」
では、そんな羽田さんの初めての売り上げはどんなものでしたか?
一番印象に残っているのは、以前仕事をよく一緒にしていた先輩が、仕事を依頼してくれた時ですね。
プライベートでも仲良くさせていただいていた先輩で、僕が独立すると知って仕事の話をくれました。もちろんそれだけでも有難いのですが、その人は無条件に仕事をくれたわけじゃなくて、僕に「提案する機会」をくれたんです。
「提案する機会」…、なんかそれって回りくどくないですか?
そうじゃなくて、一度提案する機会をもらうっていうのは、「友人の情け」じゃなくて「仕事のパートナー」として依頼してくれたってことなんです。それが嬉しかった。
なるほど、元々先輩と言うご関係だったのなら、なおさら嬉しいですね。
あと、それはto Bの話なんだけど、to Cで言えば、街角で初めて売りあがった9000円が嬉しかったかな。
9000円?
そう、会社員時代は云千万円とか、時には億単位でお金が動くこともあったんだけど、その時はどっかゲームみたいな感じがあって。
それに、そもそも学生さんからお金をもらうことそのもの抵抗があったから、「9000円支払われました」って通知を見た時、嬉しいってだけじゃなくて、なおさら重みも感じたかな。
たしかに、学生にとっての9000円って大きいですよね。
だからこそ難しいし、それに見合ったものを届けようって気持ちも強くなる。
こういうこともあって、独立してからは学生や企業さんに関わらず、「人からお金を頂いている」って感覚がすごく強くて。
「生きてるって感じがすごくする」
そんな羽田さんが感じる、独立してお金を稼ぐ難しさとかやりがいはありますか?
生きてるって感じがすごくする。
「生きてる」?
何を売るとか、今日何をするとか、なんでも自分で決める。そして誰も守ってくれない。もちろんそれ自体は大変なんだけど、会社員の時と比べて、自分で生きているって感覚がすごく強いなって。
大変だからこそなんですね。
それと、今いただいている仕事の多くは人の縁で繋がっているって部分が大きいと思っていて、17年間自分が愚直にやってきたことが糧となって今の結果に繋がっていると改めて感じるかな。
最後に
いかがでしたでしょうか!
お二人のお話しに共通して、「いただくお金のありがたさが変わった」という部分が印象的でした。
会社から給料をもらいながら働いていると、クライアントからお金を頂いて仕事をするという感覚がどうしても掴みにくくなりがちです。
しかし、“企業名”という看板を捨て、身一つで働くとなれば、嫌でもその難しさとありがたみを実感させられるようです。
いきなり独立というのはなかなかハードルが高いかと思いますが、副業がOKな会社に勤めている方は、ぜひ一度「自分で稼ぐ」という経験をしてみてはいかがでしょうか!